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惣菜店は、地域のインフラになれるか ―― 会話と家の味が支える、町の日常|夏原路代さん

栄養と健康

地域のお店・専門家

2026.02.17

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「食」・「農」・「地域」をキーワードに、輝く人物や取り組みを紹介する『食農物語』。

第12話は、夏原 路代さんをご紹介します。

プロフィール

Aim
惣菜で、地域の安心をそっと見守る店をつくりたい
Region
多賀町久徳
Name
夏原 路代(なつはら・みちよ)さん(75)
Activities
◆「まんまハウスきて菜」
◆おでん、ちらし寿司、惣菜
◆JA直売所「やさいの里二番館」出荷

インタビュー

Q自己紹介をお願いします。

A昨年11月、昔ながらの家庭料理を販売するお店「まんまハウスきて菜」をオープンしました。
おでんやちらし寿司をはじめ、添加物に頼らず自然素材にこだわった惣菜を、季節に合わせて常時10品目ほどご用意しています。

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地域に暮らす方々が、ふらっと立ち寄ってひと息つける──
そんな憩いの場所になれたらと思いながら、日々お店に立っています。

これまでは13年間、JA東びわこの直売所「やさいの里二番館」に併設された加工室で惣菜づくりを続けてきました。
その加工室の契約更新のタイミングに合わせ、「今ならできるかもしれない」と、思い切って自分の店舗を構えることにしたんです。

人生100年時代。できるだけ長く惣菜づくりを続けたいですし、何か少しでも地域に還元できたら──
そんな思いも背中を押してくれました。

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Q オープンした手応えはどうですか?

A 地域の方が、お話しがてら立ち寄ってくださるのが本当にうれしいですね。
直売所だとどうしても慌ただしく、立ち話になりがちですから。

ここでは、惣菜を買っていただいたあと、コーヒーを片手にゆっくり話し込むこともあります。
いろいろな方と関わる中で、「やっぱり私は商売が好きなんだな」「人としゃべるのが好きなんだな」と、しみじみ感じています。

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最近は近隣の小売店が少なくなり、歩いて行ける惣菜店が貴重になってきました。
買い物の場としてはもちろん、おしゃべりをしに来る場所としても使ってもらえたらうれしいですね。
実際、こうした地域の小さなお店では、いつも来ていた高齢の方が急に来なくなり、心配して様子を見に行ったら…という話も他所ではあると聞きます。
私にできることは限られていますが、民生委員の方とも連携しながら、地域の安心をそっと見守れるお店になれたらと思っています。

 

Q そもそも、なぜ惣菜を売り始めたのですか?

A まさか私が、こんなに長く惣菜を作って売ることになるとは、思っていませんでした。
きっかけは、JAが開催していた「女性起業家育成講座」に参加し、卒業したことです。

今だから言えますが、最初は本気で起業しようと思っていたわけではなく、介護の合間の息抜きとして参加していたんです。
それが気付けば仲間とグループを組み、それぞれが独立していったりと、いろいろな出来事がありました。
一緒に苦楽をともにした仲間や、関わってくださった多くの方々には、感謝の気持ちしかありません。

そんな思い入れもあって、最初に結成したグループの名前を、今も屋号として使い続けています。
お店の看板も、「やさいの里二番館」の壁に貼られていたものをそのまま使っているんですよ(笑)。

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Q 広報誌『EひとEすと』の読者限定で、何かサービスはありますか?

A えぇ~、どうしようかな。
それでは合言葉を決めましょう。
当店でお買い物の際に、その合言葉を言っていただけたら、しばらくの間、無料でちょっとしたデザートをお付けします。

その合言葉は……【ウメル】でどうでしょうか。
このWEBマガジンの名前ですね。
※お買い物いただいた方限定
※無くなり次第終了しますので、ご了承ください

 

Q惣菜づくりでは、どんなことを意識していますか?

A 「人とは違うもの」を大事にしています。

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他の人と同じものを作っても、オリジナルに勝つのは難しいですからね。

味付けは、いわば“私の家の味”。
極端な話、この味を気に入ってくださった方が私の惣菜を選んでくれたら、それでいいと思っています。
食べる方の好みにすべて合わせようとすると、キリがありませんから。

あとは、私のひらめきに助けられている部分も大きいですね。
ある日、コロッケを作ろうと思ったら、パン粉を切らしていたんです。
どうしよう…と困っていたとき、目に入ったのが、うの花(おから)でした。
試しに衣として使って揚げてみたら、あら素敵。
ヘルシーで栄養もあって、ちょっと変わったコロッケができあがりました。
見た目のインパクトが控えめだったせいか、残念ながら今は廃番商品ですが…

こうして新しい一品が生まれた瞬間は、やっぱりうれしいですね。

 

Q 元気の秘訣を教えてください。
A ずばり、試行錯誤だと思います。

「こんな商品を作ってみた → あれ、売れないな → じゃあ次はこうしてみよう」
そんな循環を繰り返しながら、どうすればもっと多くの人に喜んでもらえるかを、いつも考えています。

やっぱり、何か目的をもって行動することが大切なんじゃないでしょうか。
それは仕事じゃなくてもいい。趣味でもいいと思います。

もしかしたら、私のように「ただの趣味」だったものが、人生をかけて続ける一生の仕事になるかもしれませんよ。

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店舗情報

まんまハウスきて菜
住所/滋賀県犬上郡多賀町久徳437
営業時間/10:30~17:00
定休日/土曜日、日曜日、その他不定休
備考/店舗前の道路が狭いため、大きい乗用車でのご来店はお勧めしません

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最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。

 

惣菜を買いに来るだけじゃない。
誰かと少し話したくなったとき、今日の出来事をぽつりとこぼしたくなったとき。
「まんまハウスきて菜」は、そんな日常の隙間にそっと寄り添ってくれる場所です。

家の味をそのままに、気負わず、背伸びせず。
今日もまた、鍋の向こうで生まれる惣菜と会話が、地域の暮らしを静かに支えています。