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魅力ある「秦荘のやまいも」づくりを進めたい|地域農業のEひと(上林惣一郎さん)

農家のこだわり

自慢の特産品

旬の食材(秋冬)

2024.11.01

伝統野菜を後世に遺したいサムネイル

秦荘やまいも振興会 会長
愛荘町東出
上林 惣一郎さん(74)

主な生産品目
水稲 1ha
うち秦荘のやまいも20a

絶滅を危惧する伝統野菜

農家の家で生まれ育ち、この土地で農業とともに生きてきました。

幼少の頃は手で稲を刈り取り、はさに掛け、脱穀などの作業もすべて手作業でした。

ところが急速に機械化が進み、今では機械無しで米づくりなんて考えもできませんよね。

近年は異常気象とも言えるほど夏場の高温が続き、灼熱の日差しが私のような高齢農家の気力を奪うばかりです。

じつは、伝統野菜「秦荘のやまいも」についても高齢化による後継者不足に悩まされているのです。

生産者で構成する「秦荘やまいも振興会」発足当時は東出地域だけでも20戸あったのが、今では3戸になってしまいました。

全体でも生産者のほとんどが70~80歳代となり、このままでは貴重な伝統野菜が絶滅してしまう可能性も大いに考えられます。

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「秦荘のやまいも」は、約300年以前にこの地域に伝えられたとされている貴重な野菜。独特の武骨な形と大変強い粘り、「薬になる」と伝わる高い栄養価が他にはない地域自慢の逸品です。

おいしさの裏には苦労がある

「秦荘のやまいも」は、私が小さい頃から当たり前のように身近にあったものです。

個人的にも、会長という立場としても、このまま指をくわえて絶滅していくのを見ているわけにはいきません。

生産数が増えない最大の問題は、栽培にかかるほぼすべての工程が手作業であるということです。

加えて、掘ってみないと出来栄えが分かりません。

栽培期間は順調だったのに、いざ収穫をしてみたら大凶作だったなんて年度もありました。

収穫作業はまるでガチャガチャをしているような気分です。

これらの課題を解消していくために、より省力で高品質なものが栽培できる技術開発や、「秦荘のやまいも」の新たな価値を生み出す加工品開発の取り組みについて検討を進めています。

中
高畝に支柱を立ててつるを伸ばし、乾燥や雑草を防ぐためにワラを敷く独特の栽培方法は、「秦荘のやまいも」ならでは。原風景として後世にのこしていきたいと願っています。

地域全体で伝統野菜を盛り上げたい

この記事を通じて皆さんにお伝えしたいのは、「秦荘のやまいも」の後継者不足をはじめとする諸課題を私たち農家だけの問題と思わず、皆さんが暮らす地域全体の課題と捉えていただきたいのです。

「秦荘のやまいも」は、江戸時代から栽培が続く、地域が誇るべき伝統ある野菜です。

自分が住む地域が全国に自慢できる特産品があるのに、知らずにいるなんてもったいないと思いませんか?

そんな状況ですが、吉報があります。

それは、現在2人の若手農業者が会員として「秦荘のやまいも」を生産してくれています。

これには会員一同が大変喜ばしく感じており、同時に大きな期待を寄せています。

これからは、若手とベテランの相乗効果で魅力ある「秦荘のやまいも」づくりを進めてまいります。

ぜひ応援いただけますと幸いです。

下
栽培や出荷のコツは、若手農業者へできるだけ伝えるようにしています。私たちベテラン会員でサポートし、若手を中心に盛り上がりを見せていきたいと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

あなたの声援が、地域農業の後押しになります。

表紙

※この記事は、JA東びわこ広報誌「EひとEすと」11月号で掲載した内容です。