シャインマスカットを地域が誇る特産品にしたい|地域農業のEひと(田中信幸さん)
農家のこだわり
自慢の特産品
旬の食材(春夏)
2024.11.01
地域農業のEひと
多賀町多賀
田中信幸(たなか・のぶゆき)さん(55)
主な生産品目
水稲 ブドウ
「シャインマスカット」を地域が誇る特産品にしたい
「情報」と「食」に全力で取り組む
新聞販売店として地域の皆さんへ多様な情報をお届けする傍ら、農家として水稲やブドウの生産に励んでいます。
15年程前に父から店舗と農地を引き継ぎ、当初は兼業農家として両立していくのに精いっぱいでした。
特に農繁期は寝る余裕もなく何が何だか分からない状態でしたが、地域の先輩方や家族の支えもあり、思い返せばあっという間に過ぎ去った15年間だったように思います。
今だからこそ言えるのですが、当初は新聞販売店だけを引き継ぐつもりでした。
高齢化や設備の老朽化により農業をリタイアされる方が増える中、「誰かが地域の農地を守らなければならない」といった使命感のようなものが私を突き動かしていることに気付いた時、やはり私にも農家の血が流れているのだなと強く実感したのを覚えています。
求ム!!ブドウの生産仲間
「多賀にんじん」や「多賀そば」に並ぶ、果物の特産品をつくろうということで、令和5年8月に生産部会組織「多賀ぶどうクラブ」を立ち上げました。
ブドウの人気品種「シャインマスカット」を生産する8戸が栽培技術の向上やより良い販売に向けて検討を重ねています。
ブドウは苗木を植えてから収穫できるまで約3年の期間を必要とし、一人前の成木に育つには8年掛かるとされています。
私は4年前に植えた木から昨年初めて収穫することができました。
すると非常に出来栄えが良く、自分でも惚れ惚れするほどおいしいものだったので、他所にも負けない「シャインマスカット」の産地づくりに大きな期待を寄せています。
とは言っても、どの部会員もこれから成木に向けて管理をしているところで、本格的な収穫や売り出しはまだまだこれからです。
そういった意味で、JAが運営するトレーニング施設などをきっかけにブドウ栽培の仲間が増えてほしいと切に願っています。
責任以上に面白いから続けたい
兼業農家として農業を続けていくにあたり、今でも農繁期は寝る暇がありません。
「そんなに大変なのにどうして農業を続けるのか」「無理して身体を壊したり、事故を起こしたら大変だ」という声も多くあります。
農地を引き継いだ責任もありますが、無理してでも農業を続けたいと思うのは、やはり農業が面白いからだと思います。
特に自分が手を掛けた作物の出来栄えが、手にとって分かるのが魅力的なポイントですよね。
農業に触れたことのない方がいたら、ぜひ家庭菜園から始めてみることをお勧めします。
自分で土を耕し、苗を植え、虫や病気から守り抜いて収穫した作物を自分で食べるのはもちろん、誰かに「おいしい」と言ってもらえるのは何事にも代え難い喜びです。
この喜びや、食べ物を一から手探りで作る楽しさに気が付いたらもう、やめられなくなりますよ。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
あなたの声援が、地域農業の後押しになります。
※この記事は、JA東びわこ広報誌「EひとEすと」令和6年4月号で掲載した内容です。