今なぜ上がる?お米の価格|小林さんと一緒に考えてみた
農家のこだわり
期待の若手農家
2025.07.31

ここ最近、お米の価格高騰が
世間で話題となっています。
お米の価格が今、なぜ上がるのでしょうか?
本記事では、その理由について、
農家さんの声を交えながらご紹介します。
お話を伺った人|小林佳祐さん
今回は、彦根市田原町「小林農園」代表
小林佳祐さん(40)と一緒にお米の価格高騰について解説します。

小林さん:
皆さんこんにちは。およそ30haの面積でお米や
小麦、大豆を生産しています。
お米は毎日食べるものなので、価格が高騰すると
生活に大きな影響が出ますよね。
お米の在庫が大変少なくなり「令和の米騒動」と
騒がれた時、私の方にも多くのお問い合わせをいただきました。
そのような経験から、「地域の皆さんにとって欠かせないものを生産している」ということを改めて実感しましたね。
お米の価格が高騰。その理由は?
お米の価格が上がった理由は、お米を作るための様々なコストの上昇が反映されたからです。

図のように、肥料・燃料など、お米の生産に必要な資材がここ数年、軒並み大きく値上がりしています。
一方で、お米の価格は令和5年まで低下傾向が続いていたことも分かります
これについて小林さんはどうお思いですか?

小林さん:
私が就農した当初、肥料も燃料も今よりずっと安かったです。
必要な資材価格はどんどん上がっているのに、お米の販売価格は上がらない。
農家にとっては正直厳しい時代が続いていました。
米価はここ数年でようやく適正価格に近づいたのかなぁと思います。
野菜など他の品目とは違って、直接販売する以外は米の価格を自分で決められないのが厳しいですね。
また、農家の減少と高齢化で、水田の水路や畔(あぜ)の維持・管理、鳥獣害対策などの負担が増えています。
さらに、温暖化で雑草やカメムシなどの害虫が増えやすく、一層の対策が必要です。
しかも、暑い日が増えて炎天下の作業時間が増えており、農業特有の負担は増すばかりです。

農作業の効率化やコスト削減も図られていますが、今後も生産コストは増えていくと考えられます。
様々な物価が上がる中で、「お米だけは、いつも安く買えて当たり前」という時代ではなくなった、と言えるのではないでしょうか。

小林さん:
ここ最近の夏場における猛暑は本当に大変です!
百歩譲って私たち人間は熱中症対策をすれば何とかなりますが、お米の暑さ対策は簡単ではありません。
放っておくと、「高温障害」といって品質や収穫量が大幅に下がってしまうのです。
水管理や、品種選び、土壌改良などなど… こういった対策もまたコストが掛かってくるんですよね。
私たち農家としては、地域の皆さんに安い価格でお米をお届けできれば言うことはありません。
ですがそれだと、お米を作ったら作った分だけ赤字が増えていくことになります(泣)
ただ、もちろん私もコストを下げてお米をたくさん作ることができるよう多様な経営努力をしています。
「コストが上がったからお米の価格も上がったんです。しょうがないんです」というふうに農家が開き直って儲けている。とだけは決して思わないでもらいたいです。
ここで一つ、JAの取り組みを紹介します。
写真のような建物を見たことはありますか?


これはJA東びわこが運営する「カントリーエレベーター」という施設です。
農家さんが収穫したお米を、共同で乾燥・選別することで省力化とコスト低減を図り、農家さんの負担軽減を実現しています。
それでは今回の記事をまとめてみます。
Qお米の価格が上がった理由は?
Aお米を作るための様々なコストの上昇が反映されたから。
Q農家さん(小林さん)の本音は?
A米の値上げで農家が単純に儲かっているわけではないんです…
Q今後はどうなる?お米の価格
A近年の猛暑で農業や農作業のコストは増すばかり。決して安定視できないのが現実です。
小林さん、ありがとうございました!

小林さん:
こちらこそありがとうございました。
農家も、農家じゃない人も、お米は皆にとって必要なものです。
だから、皆でどうしたらよいか考えていく必要があると思っています。
ぜひ多くの人を巻き込んで、お米のこと、農業のことに目を向けてもらいたいです!
小林佳祐さんのInstagramはこちら↓
記事を最後までご覧いただきありがとうございました。