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「食」をきっかけに時間を見直す大切さを伝えたい|走る農家 GEN 片岡健児さん

旬の食材(秋冬)

地域のお店・専門家

期待の若手農家

2025.04.18

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「食」・「農」・「地域」をキーワードに、輝く人物や
取り組みを紹介する『食農物語』。

第2話は、“走る農家”こと「GEN(ゲン)」
片岡健児さんをご紹介します。

プロフィール

Aim
「食」をきっかけに時間を見直す大切さを伝えたい

Region
甲良町金屋

Name
GEN 片岡 健児(かたおか・けんじ)さん(41)

Activities
走る農家
◆サツマイモ
◆キッチンカー
◆SNS・ライブ配信

インタビュー

Q何をされている人ですか?
A甲良町金屋で2年半前に就農し、サツマイモを中心に生産しています。
就農当初は30aほどの面積でしたが、おかげさまで今では1haまで拡大することができました。
現状、5品種をJA直売所などへ出荷しています。
黄色い紙を袋に入れて目立つよう工夫しているので、ぜひ探してみていただけるとうれしいです。
また、自身が生産するサツマイモをもっと多くの方に知ってもらおうと、県内各地のイベントへ年間60回以上出店して出来たての芋けんぴを販売しています。
自分の作った農産物を販売して終わりではなく、食べてくれる方の口に入るまで見届けることができるのは、農家冥利に尽きると言うのか、最高にうれしいです。

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片岡さんが出荷・販売するサツマイモ

 

Q最近力を入れていることは何ですか?
Aこれまで私の農業に対する姿勢や取り組み方をもっともっと多くの人に知ってもらいたいと考え、インスタグラムなどでショート動画を投稿してきました。
最近は、毎週月曜日の12時に行うライブ配信に力を入れています。
サツマイモのおいしい食べ方やレシピをリアルタイムで紹介しているのですが、いまだに緊張しています(笑)
サツマイモには品種ごとにホクホク系やねっとり系のものがあるのですが、直売所出荷時に「どうやって食べたらいい?」と聞かれる機会が結構あります。
定番野菜ではあるものの、品種によって全く異なった良さが発揮できるポテンシャルを秘めていることに気づいたのが、ライブでレシピを配信するきっかけでした。
品質の高いサツマイモの販売だけにとどまらず、レシピや私の想いといった部分で付加価値としてお届けできたらなと思っています。

 

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Q最も大切にしていることを教えてください
A私は、シングルファザーになって農家に転身したパパです。
周りの人からは、「無理無理、絶対にやめとけ。農業では食っていけない」とか、「どれだけ子どもに迷惑を掛けるんや。そのままサラリーマンしてたら子どもは幸せやろ」などと言って笑われました。
サラリーマンとして生きていけば、不自由なく収入が得られ、不自由なく生活ができ、そして不自由なく生きていける。そんな安定した未来があったと思います。
そんなことは百も承知です。
でも私には、残りの命をかけてやらなければならない理由があるのです。

私が何のために農業をやっているか。一番大切なのは私の子どもたちです。
子どもにのこせるのはお金だけじゃない。
この子たちが将来、壁に当たった時に乗り越える力を持ってもらうために私は今、戦っています。

私が親としてこの子たちに伝えたいのは、挑戦する大人の姿です。
今、日本が沈みかかっている時代に大きなカギを握っているのは農業だと思っています。
一度は沈んでしまった家族だけど、ここから自分次第で変えていきます。

私は、「食」から家族の団らんや人とのつながりが生まれ、そして豊かに暮らせる本当の未来があると信じています。
本気で取り組む背中を子どもたちに見せていくことが、皆さんのご家庭を少しずつ灯すことにつながっていく—。
そんな農業を目指していきます。
この小さな挑戦の行方を見届けてもらえるとうれしいです。

 

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Q動画はどのように制作しているのですか?
Aライブ配信は自宅のキッチンで、ショート動画はリビングや畑で撮影しています。
投稿するテーマを決めて下調べを行い、台本を作って収録、そして編集といった流れで、カメラは持っているiPhoneです。
基本的には農作業の合間や、夜の時間帯を中心に時間を作るようにしています。
照明などの機材はYouTubeで勉強してコスパ優先で買い揃えました。
動画は1分程度の尺と言えども、編集には結構な手間が掛かります。もともと動画編集の経験があったわけではなく独学なので、当初は四苦八苦しながら編集していましたね。

Q顔出し動画を投稿するのに抵抗はなかったですか?
Aそうなんですよ!なにせ全世界に自分の顔面が公開されるわけですから、当初は抵抗感が大きかったです。
しかし、私の農業に対する姿勢に共感してほしい、サツマイモのおいしさを知ってもらいたいといった気持ちが恥ずかしさを上回ったので、顔を出していくことを決めました。
やはりその人の表情が見える方が、親しみを持ってもらいやすいですからね。
顔を出して投稿している以上、ある種のやっかみのようなものがあるのは覚悟していましたし、たまにアンチコメントのようなものも来ます。
ですがそれ以上に応援コメントをいただけることに感謝しかありません。

 

新規 Microsoft PowerPoint プレゼンテーション

Q「食」と「農」の隙間についてどう思いますか?
A流通の高度化によって「食」を生み出す農業の現場をイメージするのが難しい現代社会に、とても共感します。
親子向けにサツマイモの収穫体験を実施したことがあるのですが、親に話を聞いてみると、「子どもに農産物が育つ現場を知ってほしい」と思って参加されている方がほとんどでした。
サツマイモが育つ土の感触や葉っぱとツルの付き方、収穫後すぐにはおいしく食べられないこと。
そういった知識を机上だけでなく、実際に体験して学んでもらうことに大きな価値があると思います。
このような学びの大切さを多くの人が共通の価値観として共有することで、「食」と「農」の隙間が埋まった持続可能な農業と豊かな地域社会が成り立つのではないでしょうか。

Q今後の展望は?
A自分だからこそ伝わる「食」の大切さを、より多くの方にお届けしていきたいです。
読者の皆さんは、自分の家族と過ごす時間を日頃から見つめ直すことはできていますか?
ぜひ「食」を通じて時間を見つめ直す機会を作ってみていただきたいです。
食卓の団らんはもちろん、普段の買い物、畑で過ごす自然とのふれあいなど、私たちが生きていくのに欠かせない「食」だからこそ、そこには決して目を背けるべきでない時間が存在しているのです。
もう一つの大きな目標は、恐れ多いかもしれませんが甲良町をもっと活気ある町にすることです。
イベント出店時に甲良町から来たことをお客さんに伝えると、「あー!あの何もない町ですね」と冗談交じりで言われることがあります。
わりとグサッときます(笑)
あまり偉そうなことは言えませんが、地元を盛り上げる起爆剤のような存在になってみたいなと思っています。
まずは何より生産規模を拡大して、もっともっと共感者を増やしていくことが目標です。どうぞよろしくお願いします。

 

「GEN」片岡健児さんのインスタグラムはこちら↓

 

記事を最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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