地元の農業をこの手で守りたい|若林拓優さん
期待の若手農家
2025.08.20

「食」・「農」・「地域」をキーワードに、輝く人物や
取り組みを紹介する『食農物語』。
第6話は、多賀町敏満寺の
若林拓優さんをご紹介します。
プロフィール
Aim
地元の農業をこの手で守りたい
Region
多賀町敏満寺
Name
若林 拓優(わかばやし・ひろまさ)さん(31)
Activities
◆建設業との兼業農家
◆水稲 4.6ha
◆小麦・多賀そば 1.4ha
◆ブドウ栽培トレーニング施設 受講

インタビュー
Q自己紹介をお願いします
A多賀町の敏満寺で父と2人で建設業を営みながら、農業に取り組んでいます。
昨年には父親の名義ですが認定農業者となり、今年から従来の水稲栽培に加えて小麦と「多賀そば」の生産にも勤しんでいます。
また、令和5年から始まったJA東びわこの「ブドウ栽培トレーニング施設」では受講生として参加し、ブドウの栽培について学んでいるところです。
一般的にブドウをはじめとした果樹栽培は、着手するのに果樹棚やハウスといった初期費用が多く掛かることや、収穫できるまで未収益期間の長さがハードルとして挙げられます。
その点、ほとんどの費用をJAに負担してもらう形で、さらに栽培技術も指導してもらえるのがかなり良いです。

施設内で受講生ごとに区分けされた1列=8本の樹を管理するのですが、なかなか上手に育ってくれず、現状は失敗続きです。
自分の技術が及んでいないのはもちろんですが、「教科書的にはそうだけど、こう変えてみたらもっと上手くいくのでは?」といった我流のチャレンジをたくさんしているのも失敗続きの原因だと考えています。
自分で初期投資をして育てる果樹であれば失敗は大きなダメージになりますが、トレーニング施設なので気が楽です(笑)
こうしたチャレンジを積極的にできる環境がとても楽しいです。

Qどうして農業をしようと思ったのですか?
A幼少の頃から祖父や父がしている田んぼを手伝うのが好きで、中学生の時に進路を考えた際、自分も農業をしたいと思ったので農業高校に進学しました。
卒業後、一度は農業から離れた期間もありましたが、父の建設業と農業を継ぐ形で実家へ戻ってきて3年目くらいになります。
かねてからわが家の農業では、ほぼ赤字の状態が続いていました。
世間にある普通の会社であれば、赤字の部門は修正するなり、修正できなければ切り捨てるのが一般的です。
しかし、父は農業を切り捨てませんでした。
建設業で出た利益を投資して農業を続け、先代が守ってきた地域の農地を次世代へつないでいく—。
そういった姿や考え方に、私はとても共感しています。
自分が生まれ育ったこの地域で、先代が守ってきた農地や農業を自分も続けていきたい。
そう強く思ったため、父へ事業を継ぐ決心を打ち明けました。

Q兼業農家って、実際どうなんですか?
A将来的に兼業のスタイルを貫いていくのか、農業に一本化するのか、今の段階では何とも言えません。
個人的には、農業をメインにやっていきたいなぁと思っているところではありますね。
でも、兼業ならではのメリットのようなこともあります。
例えば建設業の取引先から農産物の販売先につながることがありました!
いずれにせよ、地域の皆さんの快適な住まいを提供するといった点で、建設業と農業は深いところでつながっているように思います。

Q建設業ではどんな仕事をしていますか?
A住宅のリフォームが中心です。その中でも私は、お風呂やトイレの設置、それに伴う排水の関係、また電気関係の部分も担当しています。
建設業に関しては、以前に勤めていた建設会社で学んだノウハウが活きています。
建設業も農業も、日の出ともに外でのびのびと身体を動かして働くといった点で自分の性分に合っているんだろうなと思っています!

Q今後の目標を教えてください
A私の記憶の中では、3歳くらいからずっと実家の農業を手伝ってきました。
当然、子どもの労力なんて知れていますが、幼いながらに自分が家族の役に立っていると実感できた農業が好きでした。
そして大人になるにつれ、農業を営み農地を守ることが地域のためになるということを理解し、さらに農業を好きになっています。
多賀町は豊かな自然が残り、農業を基軸とした多様な伝統文化が根付く地域です。
そんな土地の農業をこの手で守り、次の世代へ確かに引き継いでいく。これが、私の最大の目標です。
正直、今のところすべてが上手くいっているわけではありません。
自分の至らないところで迷惑を掛けてしまうことも多いです。
ですがこれから、精いっぱいがんばりたいと思っています。
地域の皆さま方におかれましては、今後も何卒ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

記事を最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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