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確かな技術で誠実な農業に取り組みたい|一岡 陸人さん

期待の若手農家

2025.11.20

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「食」・「農」・「地域」をキーワードに、輝く人物や取り組みを紹介する『食農物語』。

第9話は、兼業で農業に取り組む一岡 陸人さんをご紹介します。

プロフィール

Aim
確かな技術で誠実な農業に取り組みたい
Region
愛荘町香之庄
Name
一岡 陸人(いちおか・りくと)さん(37)
Activities
◆25歳で起業
◆兼業農家
◆露地野菜

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インタビュー

Q自己紹介をお願いします
A卸から仕入れた書籍をインターネットで販売する本業と並行して、昨年から農業を始めました。
この冬シーズンは春菊やセロリなどを栽培し、JA直売所「やさいの里あいしょう館」をメインに出荷しています。

初めての夏作は順調でしたが、続く秋冬作は大変でした。
種をまいて大切に育てた苗の全部が、虫に喰われてしまったんです。
慌ててまき直しましたが、その分だけ時期が遅くなって生育はよくありませんでした。

YouTubeで家庭菜園レベルの講習動画はよく見かけますが、こと防除に関してはあまり詳しく言及されていないことが多いんですよね。
日本農業技術検定も取得しましたが、3級ではまだ専門性が薄い印象です。

おいしく安全な野菜を安定してお届けするために農薬は必要だと、身に沁みて学びました。
使い方を間違えると危険が及ぶ場合もあるので、適切な農薬の施用が欠かせないのは言うまでもありません。

栽培した野菜は、たくさんの方に召し上がってもらいたいですし、近いところで言うと私の子どもも食べます。
なんとなくではなく、しっかりとした技術で、一人の生産者として責任を持って取り組んでいきたいと考えています。

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Q農業を始めてみた感想は?

Aもともと自分で家庭菜園をやっていたわけではなく、ビジネスとして畑を始めたわけですが、想像以上に農業の魅力を実感しています。
まず太陽の光を浴びて仕事ができるのは言わずもがなですよね。

意外だった魅力は、地域での交流が広がったことです。
近所でお会いする方や所属する自治会の会合で、「農業を始めたんやってなぁ!」とお声掛けいただく機会が増えました。
JAで近所の方と偶然会うこともあります。
農業や畑、直売所出荷をきっかけに、これまでは無かった話題で深い関係を築くことができるようになりました。
話したことの無い方とも会話するきっかけにもなっていますね。

生まれ育った地域の一員として、今まで以上に周囲に認めてもらえた気がして、やはりうれしさは隠せません。
ただ一方で、農業は自分一人で完結できる仕事ではありません。
そこは防除と同様に、十分に注意を払っていきたいですね。
例えば畑の雑草を放ったらかしにしていると、そこが病害虫のすみかとなり、隣接する農地にも影響を与えることとなります。

農業を続けていくために、ひいては住み続けていくために、地域の方々と手を取り合い、ともに豊かな地域社会を目指していきたいと思っています。
地域の皆さま、何卒よろしくお願します。

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Qそもそも、なぜ農業を始めたんですか?
Aアルバイト時代の経験を活かして25歳の時に起業したのですが、近年の物価高騰、特に燃料費の高騰は半端ではありません。
そのあおりを受け、1本の事業では家族を支えていくのに厳しくなってきたんです。

今の仕事を続けながらできることを考える中で、祖父母や父が畑をしていたことを思い出しました。
この面積でこれだけの苗を植えれば、これだけの収量を見込め、売上としてはこれだけを見込めるな—。

自然が相手なので計算通りには行きませんが、畑が身近にあった分、ある程度の予測を立てられると分かったんですよね。
まずは小さな規模から始めて、今は規模拡大を視野に入れています。
気になることは徹底的に調べるタイプなので、どの品目を作付けしようか、どうやって売ろうか、勉強しながら考える日々が楽しいです。

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Q兼業で働くのは大変ですか?
A決して簡単ではないかもしれませんが、やる気次第です。
夏シーズンの一日だと、朝5時に畑へ行って収穫、7時に袋詰め、9時頃にJA直売所へ並べた後に朝食をとります。
その後はもともとやっていた事業の仕事を夕方まで。
夜は家事や育児など、家のことをやります。

もちろんシーズンやタイミングによっては変化しますけどね。
何にしても、継続してコツコツと取り組むことが大切です。


Q今後の展望は?
A農業を始めたことをきっかけに、「食」や加工にも興味が湧いてきました。
具体的には、梅干しや漬物など、昔ながらの加工品を自分の野菜で作りたいですね。
昔のじいちゃん・ばあちゃんが作っていたような、塩を吹きまくった「あの梅干し」。
たまりませんよね。
今となっては、お店で買いたくても買えない代物です。
お酒のアテを作るのが好きなので、自分が食べたいだけ感は否めません(笑)

他には、ケアマネジャーの試験をちょうど今、受けています。
今の仕事と畑違いかと思われるかもしれませんが、新しいことに取り組むのが好きなんですよね。

私のモットーは、“誠実であること”です。
兼業だから、3足のわらじだからといって中途半端になってしまうのは嫌です。
農業も他の事業も、自分がやると決めたからにはとことん向き合って取り組んでいきます。

地域の皆で前向きに、胸を張っていきましょう!

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記事を最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

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