都会のど真ん中で近江米「きらみずき」が即完売!農家が東京のマルシェで見た景色とは?
農家のこだわり
活動レポート
2025.11.27
皇居・国会議事堂・官庁街などを抱え、日本の首都機能を有する東京都、千代田区。
そんな都会のど真ん中で、全国各地のJAから取り寄せた旬の農産物を販売する「JA共済マルシェ」が行われています。
今回の記事では、「自分のお米を都会で試したい」と手を挙げていただいた1人の農家と一緒に出展した様子をお届けします。
目次
全国の旬が集まる、都会ど真ん中のマルシェ
JA共済マルシェとは、全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)が東京都千代田区の全国本部ビルで地域貢献活動の一環として開くマルシェイベントです。
2016年度から開催されており、近隣住民や近隣オフィスを利用する人などを対象に、全国各地の旬の国産食材の魅力やおいしさを届けています。
JA東びわこでは、将来の地域リーダーが集う組合員大学「あぐりライフ」受講生に出展を呼び掛けたところ、第2期生の上柳豊寿さんが手を挙げていただきました。
上柳さんに関連する過去記事はこちら
◆いちばんおいしいお米の食べ方は?|米農家にきいてみた【きらみずき5㎏プレゼント企画】
◆将来の地域リーダーが意見を交わす情熱の空間|JA東びわこ組合員大学「あぐりライフ」
◆父の背中を見てきた自分だからこそ農業を続けたい|上柳豊寿さん
このマルシェは旬の農産物をJA共済が買取販売をする仕組みなので、当初は農産物のみ出展いただく想定でした。
ところが上柳さんがひと言。
「実際に自分の目で確かめたい。会場に直接行ってもいいですか?」
それならばと、組合員大学「あぐりライフ」担当者かつ「Umel(ウメル)」担当者でもある筆者が、JAとして伴走支援すべく同行させていただくことになりました。
上柳さんにご準備いただいたのは、まだまだ希少な近江米「きらみずき」。
持って帰りやすい2㎏袋に詰めていただきました。
「お客さん、来るんかな?」不安を抱えて東京へ
会場までの道中、新幹線に揺られながら上柳さんとこんなことをお話ししていました。
担当者:「ビルのワンフロアでマルシェって、あまり想像がつかないですよね」
上柳さん:「そんなところにお客さん、来るんかな?」
担当者:「・・・。」
これはもしかしたらヤバいやつなのかもしれない──。
そんなことを考えながら会場に到着したのですが、はっきり言って杞憂でした。
都会ってすげー。
マルシェ会場では、販売開始を待つ人の行列ができていました。
最初に完売したのは、上柳さんの「きらみずき」だった
販売スタートと同時に、続々とやってくる人。人。人。
300人を超える来場者で会場が溢れかえっていました。
出展されていた農産物は、野菜や加工品など様々。
お米は、上柳さんの「きらみずき」の他に、全国各地のブランド米が5種類ほど販売されていました。
上柳さんと筆者で、来場者に声を掛けて積極的に会話をしながらセールス。
「日本一の湖、琵琶湖を有する滋賀県の新しいブランド米なんです」
「普段はどうやってお米の種類を選んでいるんですか?」
「差し支えなければ、お米を選ぶ基準を教えてもらえませんか?」
ものの30分で、上柳さんの「きらみずき」が1番最初に完売となりました。
上柳さん:「こんなことなら、もっと沢山の数を用意しておいたらよかったね」
会場内の他JA担当者に話を聞くと、安くて品質の良い農産物が集まるマルシェということで、近隣ビルの会社員やマンションの住人による口コミで人気が広まっているんだそうです。
インタビュー:「自分の米を自分の手で伝えたい」上柳さんの決断
マルシェを終えて、上柳さんに改めてお話をお伺いしました。
Qどうして会場まで足を運ぼうと思ったのですか?
A農業経営の主軸を父から私に変えたこのタイミングだからこそ、「このお米、私が作ったんですよ」と言った時のお客さんの反応を見てみたかったんです。
また、どんな人が私の米を食べてくれるのか、見てみたい気持ちもありました。
Qお米のJA出荷についてどうお考えですか?
A地元のJAに出荷することで、販売をお任せできるので、生産者としてのメリットはかなり大きいです。
生産に集中することで、より高品質でおいしい米が作れますからね。いつもお世話になってます。
ただ、食べる人の顔を見てみたいという気持ちがあるのも事実です。
そこでJAが橋渡しをしていただけるのは大変うれしいですね。
Q直接販売してみた感想は?
Aお客さんと沢山お話しして、色んな情報を収集できたのがよかったですね。
まだまだ滋賀県内でも知らない人がいる「きらみずき」は、東京でなら知られていないのは当然とも言えます。
そんな新ブランドの認知度向上に、私の手で少しでもお役に立てたのならよかったです。
また、「きらみずき」に関わらず、これから“自分”というブランドを広めていくための勉強というか、気づきにもなりました。
今後もJAと良い関係で、一緒により良い地域農業に取り組んでいきたいと考えています。
引き続きよろしくお願いします!
上柳さん、ありがとうございました。
おわりに
WEBマガジン「Umel(ウメル)」をはじめ、JA広報活動においても欠かせないスローガンとして取り組んでいる「地産地消」。
今回は地元で採れたお米を県外(都心)で売るといった、一見すると正反対の事柄のようにも思えます。
農家の立場で見れば、農業所得を上げるために地域内外でマーケットを拡大するのは当然であり、JAとして伴走していくことが求められます。
一方で地元の消費者からすると、地元だけでなく全国・世界で人気の農産物が、じつは地元で生産されているといった自慢や愛着が、地産地消の推進につながるのではないか──。
そして、地元の農業を応援する気持ちの醸成に、大きく貢献するのではないかと考えています。
JAが単に他所で地元の農産物を売るだけでなく、しっかりと広報活動をはじめとした事業を紐付ける。
そうすることで、農家にとってかけがえのないJAでありながら、消費者へ一緒に農業理解を呼び掛けていく。
例えば地域の消費者がスーパーの売り場で並んだお米を見たとき、他府県産米ではなく地元産米を迷わず手に取れる──。
そんな考え方を持った人を少しずつ増やしてきたいと考えています。
記事を最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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