農家がそばを打つ理由|多賀の未来を守る場所「あけぼの亭」
旬の食材(秋冬)
地域のお店・専門家
2025.12.16
自然豊かな環境に囲まれ、
良質な農産物が活発に生産される多賀町。
けれど、せっかくの特産品が“観光客向け”として
楽しまれる機会ばかりで、地元の人こそ味わえていないのでは?
そんな思いをきっかけに、有志が立ち上がりました。
「地元の人が多賀そばを食べる場所をつくりたい」
その願いを胸に、
毎週日曜日だけ暖簾がかかるお店があります。
今回は、多賀そば農家の西村さんに
教えていただいたお店をご紹介します。
地元で“多賀そば”を食べられる場所
今回訪れたのは、多賀町久徳に店を構える「手打ち多賀そば処 あけぼの亭」。
じつはこのお店、曜日によって運営者が変わるという少しユニークなスタイル。
そして “あけぼの亭”が開くのは日曜日。訪れる際はお間違いなく。
紹介してくれたのは、多賀そばの生産者でつくる「多賀そば部会」部会長の西村泰一(にしむら・やすいち)さんです。
お店のコンセプトは“地元で多賀そばを食べられる場所”。
とてもシンプルです。
しかしその背景には、西村さんの強い想いがあります。
「多賀そばは、地域の農地を守る最後の砦なんです。だからこそ、地域のみんなで守りたい」
多賀町は自然に富み、高品質の米や、「多賀にんじん」をはじめ多様な農産物が育つ土地。
その一方で、農業者の高齢化や離農という課題にも直面しています。
だからこそ、西村さんは「若い世代を含め、多くの人が農業に関わるきっかけをつくりたい」と語ります。
多賀そばを、地域の農業が未来へつながる
原動力にしたい。
そんな想いが「あけぼの亭」には息づいています。
多賀そばについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
打ち手は3人、それぞれの個性を味わう
この店では、地元のそば道場で修業を積んだ3人の打ち手が開店前にそばを打ち、調理・提供まで行います。
そして、そのひとりが西村さん。
農家が育てたそばを、農家が自ら打つ——。
その一杯を想像するだけで、胸が高鳴ります。
ただし西村さんの出番は多くなく、ほかの2人の予定が合わない日だけ不定期に担当されているとのこと。
「打ち手の個性が出るからね。それぞれの良さを楽しんでほしいですね」
“打ち手”で味が変わる。
それも、この店の楽しみ方のひとつです。
9割そばの豊かな風味、手打ちならではの贅沢感
「あけぼの亭」のそばは、そば粉9割。
香りがもっとも映えるバランスを追求し、乾麺ではたどり着けない世界が広がります。
手で打ち、手で切るため、ときどき麺が不揃いになることも。
しかしそれこそが魅力。
均一ではないからこそ、ひとくちごとに異なる食感を楽しむことができます。
そんな本格派の多賀そばが 、
750円〜という驚きの価格。
旬の食材を使った「季節のごはん」もぜひご一緒にどうぞ。
店舗情報
手打ち多賀そば処 あけぼの亭
住所/滋賀県犬上郡多賀町久徳478
営業時間/11:00~14:00(なくなり次第終了)
営業日/日曜日
多賀で暮らす人が、多賀のおいしさを味わう。
そんな当たり前の幸せを守るために立ち上がった「あけぼの亭」。
週に一度だけ開くこの場所で、ぜひ“土地の力”を感じてみてください。
記事を最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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