あの折り鶴を見かけたら、畑の物語を思い出して——|Hiro(Natural)Farm 門田 博美さん
農家のこだわり
期待の若手農家
2026.05.20
「食」・「農」・「地域」をキーワードに、
輝く人物や取り組みを紹介する『食農物語』。
第15話は、栽培期間中 農薬・化学肥料不使用で
多品目の野菜を育てる門田 博美さんを
をご紹介します。
プロフィール
Aim
安全安心なおいしい野菜を食べてほしい
Region
愛荘町野々目
Name
Hiro(Natural)Farm[ヒロナチュラルファーム]
門田 博美さん(58)
Activities
◆野菜 多品目栽培
◆栽培期間中 農薬・化学肥料不使用
◆ブドウ栽培トレーニングセンター受講生
インタビュー
Q 自己紹介をお願いします
A 長年勤めていた会社を3年前に退職し、多品目の野菜づくりを始めました。
珍しい野菜や果物を食べるのが好きで、スーパーではあまり見かけない品種や品目を積極的に栽培しています。
今年の夏野菜は約40種類。その中でもおすすめは、「オカノリ」です。
茹でて刻み、醤油をかけておひたし風にすると、ネバネバとした食感が際立ち、とてもおいしいんですよ。納豆と和えるのも相性抜群です。
収穫した野菜は主に「やさいの里あいしょう館」に出荷しています。
パッケージには、親戚の96歳のおばあちゃんが折ってくれた鶴を添えていますので、
見かけた際は、ぜひ手に取っていただけたらうれしいです。
Q 直売所出荷の魅力を教えてください
A 自分で育てた野菜が売れた瞬間の喜びですね。
とはいえ、私自身は「農家」というより、「大規模な家庭菜園を楽しんでいる感覚」に近いかもしれません。
直売所は、収穫できた分だけを持ち込み、自分で価格を決めて販売できる仕組み。
ハードルが低く、畑の規模に関係なく、登録すれば誰でも出荷者になれるのが魅力です。
家庭菜園をされている方には、ぜひ一度チャレンジしてみてほしいですね。
多様な人が関わることで、直売所そのものの魅力もさらに高まるのではないでしょうか。
実は私、野菜づくり歴はまだ数年ですが、昨年から出荷者で構成する生産部会の支部代表を務めています。
部会に所属していれば誰でも参加できる講座や視察研修など学びの機会が多く、日々刺激を受けています。
本当におすすめできるので、家庭菜園にとどまっている方は、ぜひ一歩踏み出してみてください。
そして何より印象的なのは、部会の皆さんが「自分たちの農産物で地域を元気にしたい」という思いを共有し、前向きに取り組んでいること。
組織の中に入って初めて見える熱意があります。
だからこそ、野菜はスーパーだけでなく、ぜひ直売所で地元産のものを選んでほしいです。
工夫を凝らした、鮮度抜群のおいしい野菜が並んでいますよ。
Q 栽培のこだわりを教えてください
A 化学肥料や農薬に頼らない自然循環型の農法に取り組んでいます。
野菜づくりを始めたきっかけは、孫の誕生でした。
かわいい孫には、おいしくて、何より安心できる野菜を食べさせてあげたい——そんな思いが原点です。
化学肥料や農薬は安全性が保証され、厳格に管理されていますが、それでもどこか心の奥で納得しきれない部分がありました。
それなら自分で農薬を使わない野菜を作ろう、と決意したのです。
当初は、いわゆる自然農法に挑戦。
不耕起栽培に草マルチを組み合わせる方法でしたが、思うように成果が出ず、しっかりした収穫に至るまで7年もかかる現実に直面します。
試行錯誤の末、正直行き詰まりました。
そんな中で出会ったのが「菌ちゃん農法」です。
この農法では肥料を使わず、朽ちた木やもみ殻、ウッドチップ、野菜の残渣などを活用し、微生物の力で土を育てていきます。
自然と共生する仕組みで、環境にもやさしいのが特徴です。
実践してみて驚いたのは、野菜の大きさと味の違い。
明らかに食味が良く、野菜本来の力が引き出されていると実感しました。
「ヒロばあちゃんの野菜が、いちばんおいしい」
孫のその一言が、何よりの喜びであり、原動力なんです。
Q 農薬や化学肥料についてどう思いますか?
A 農薬や化学肥料を否定するわけではありません。
ただ、できるなら使わない野菜を選びたい、家族にも食べさせたい——
そんな考えもあっていいと思うのです。
安全・安心で環境にも配慮した農産物への関心は高まっており、
こうした取り組みが直売所の活性化につながればと期待しています。
生産者にも消費者にも多様な価値観があるからこそ、直売所出荷は面白くなり、
そこから「食」や「農」を軸に地域の元気が広がっていくのだと考えています。
また現在は、「シャインマスカット」の栽培にも力を入れています。
JA東びわこが運営するブドウ栽培トレーニングセンターで学び、
昨年8月には、ついに自分たちで育てたブドウを販売することができました。
試験的な販売ではありましたが、飛ぶように売れ、受講生同士で喜びを分かち合えた経験はかけがえのないものです。
反省点は、摘粒作業がうまくいかず、形に課題が残ったことです。
今年は見た目にも美しいシャインマスカットを、自信を持って届けたいですね。
さらに、農薬や化学肥料(窒素成分)の使用量を通常の半分以下に抑え、泥水を流さないなど、琵琶湖をはじめとした環境に配慮した「環境こだわり農産物」の認証取得にも挑戦する予定です。
これからの展開に、今から楽しみが止まりません。
記事を最後までご覧いただきありがとうございました。
門田さんのInstagramはこちら↓
あの折り鶴を見かけたとき、
この物語を、ふと思い出してもらえたら。
そして、今日の食卓に並ぶ一皿が、
どんな農家の畑で、どんな想いでできてているのか…。
ほんの少し思いを巡らせてもらえたならうれしいです。
その一口が、また次の誰かへとつながっていきますように
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