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未来へつながる一歩を、畑から。|ナナハチ農研 名畑 佑哉さん

農家のこだわり

2026.08.19

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「食」・「農」・「地域」をキーワードに、
輝く人物や取り組みを紹介する『食農物語』。

第18話は、独自の発想で農業を研究する
名畑 佑哉さんをご紹介します。

プロフィール

Aim
未来へつながる農業に挑戦したい
Region
彦根市西今町
Name
ナナハチ農研
名畑 佑哉さん(41)
Activities
◆多賀町で野菜生産
◆移動式焼き芋屋
◆農事組合法人勤務

インタビュー

Q自己紹介をお願いします。
A「ナナハチ農研」という屋号で野菜を生産しています。

本業としては、彦根市内の農事組合法人で働いています。
令和元年に就職し、野菜づくりを担当することになりましたが、毎日が失敗の連続でした。
未経験から飛び込んだ世界ですから、最初からうまくいくはずもありません。

それでも、「なぜ生育が揃わないのか」「どうすればもっと品質を高められるのか」
と疑問を掘り下げるうちに、もっと良い野菜を作りたいという思いが強くなりました。

そして、「農業を未来へつなげたい」と考えるようになり、
一人の従業員として法人や地域農業に少しでも貢献できればという気持ちから、
自分自身でも農業を研究しようと決意しました。

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そこで、多賀町にある祖父母の畑を引き継ぎ、「ナナハチ農研」をスタートしました。
屋号の由来は、友人から呼ばれていた愛称「ナバ(78)」です。
「ナバによる農業研究所」という意味を込めています。

 

Q個人的に野菜を生産して良かったことは?
A自分の判断で、一歩踏み込んだ挑戦ができることです。

法人ではブロッコリーやキャベツを大規模な農地で栽培しているため、私個人の興味だけで新しいことを試し、失敗するわけにはいきません。
その点、自分の畑なら責任はすべて自分です。
失敗を恐れず挑戦できるため、それが大きな魅力だと感じています。

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最近は、微生物を豊富に含む資材の効果を試しています。
育苗時から液肥として使い、定植後の灌水にも利用したところ、生育がよく揃い、自分でも驚くほど良い結果が得られました。
もちろん、今後は他の品目でも試しながら、メリットだけでなくデメリットも検証していく必要があります。
独自の発想で好き放題に試行錯誤できることが、本当に面白いですね。

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Qこれまでで最大の挑戦は何ですか?
A移動式の焼き芋屋を始めたことです。

私は、農業は天候にも左右されるハイリスクな仕事だと考えています。
そのため、作るだけではなく「どう売るか」も農業の大切な部分だと思うようになりました。
個人で収穫した野菜は、市場やJA直売所だけでなく、コンビニ、飲食店など、さまざまな販売先を試してきました。
妻が無店舗型の洋菓子店を営んでいるため、一緒にコラボしたこともあります。

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そうした経験を通して、「付加価値を付けること」が収益につながると実感しました。
そして、「それなら自分で直接販売してみよう」と思いつき、始めたのが焼き芋屋です。
軽トラックをベースに骨組みや焼き窯をDIYで製作し、令和5年から営業を始めました。

 

Q焼き芋屋さんの手応えはどうですか?
Aやって本当に良かったと思っています。

特に印象に残っている出来事があります。
焼き芋を購入してくださったお客様から、「コンビニでナナハチ農研の野菜を買っています」と声を掛けていただいたことです。

私自身は、「野菜を店頭に並べるだけでは伝わらないから、自分が焼き芋屋として地域へ出向き、知ってもらおう」という考えで始めました。
しかし実際には、焼き芋をきっかけに野菜まで知っていただいていたのです。

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皆さんから見れば小さな出来事かもしれませんが、個人で始めたばかりの私にとっては大きな感動でした。
これまで積み重ねてきた「ナナハチ農研」の小さな活動が、一つにつながった瞬間だったと思います。
続けることで少しずつ広がりが生まれることを実感できました。

 


Q焼き芋はいつ・どこで販売していますか?
A販売日や場所はInstagramでお知らせしています。

サツマイモの収穫やキュアリングを行うため、営業期間は例年12月中旬から2月頃を予定しています。
本来なら販売場所を事前に決めて回りたいのですが、石焼き芋の仕上がりによっては急に営業を中止する場合もあるため、最新情報はInstagramで発信しています。

 

販売エリアは彦根市や多賀町が中心で、ときどき愛荘町にも伺います。
子どもが多い新興住宅地を回ることが多いですね。

サツマイモも研究の一環としてさまざまな品種を試しましたが、一番のおすすめは「ふくむらさき」です。
とても甘く、ねっとりとした食感が特徴の紫芋です。

販売中にアナウンスを流すと、焼き芋を買おうと子どもたちが走って追いかけてきてくれたり、
おいしそうに頬張る子どもを見つめるご家族の笑顔に出会えたりします。

そんな光景を見るたびに、この仕事が私の生きがいになりつつあると感じています。

 

Q今後の目標を教えてください。

A現状に満足せず、もっと良いもの、もっとおいしいものを作りながら、地域農業の未来につながる取り組みを続けていきたいです。

私は、多賀町のどこか懐かしさを感じる田園風景が大好きです。
美しい水に恵まれた田畑は、未来へ受け継ぐべき大切な資源だと思っています。
一方で、高齢化による離農が進み、私が祖父母の畑を引き継いでからも、町内の畑は次々と住宅地へ変わっていきました。

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焼き芋の販売で新興住宅地を回っていると、新しく移り住まれた若い世代の方々も、この多賀町という地域を好きになって暮らしていることを感じます。
新興住宅地と昔ながらの田園風景がこれほど近い距離で共存している地域は、珍しいのではないでしょうか。

農地の継承が課題となる今、未来を担うのは、この地域で育つ子どもたちです。
豊かな自然や農業に触れながら、ふるさとへの愛着を育んでほしい。
それは地域で暮らす多くの大人に共通する願いだと思います。

私は、若い世代と高齢世代のちょうど中間にいる世代です。
だからこそ、その立場だからできる方法で、人と地域をつなぎながら、今の農業を未来へ受け継いでいきたいと考えています。

 

 

最後まで記事をご覧いただき、ありがとうございました。

土に触れる、小さな一歩が、
いつか誰かの未来を耕していく。
この町の景色が、これからも続いていくように。

 

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