【健康】ナバナのすすめ【美容】|極上レシピをきいてみた
旬の食材(秋冬)
栄養と健康
2025.01.30

皆さんにとって「ナバナ」は身近な野菜でしょうか?
身の回りの人へ尋ねてみたところ、お年を召した方にとっては身近で昔から親しんできた食材とのことでした。
一方で、若い年代の方からは「あまり食べたことがない」という声が多く上がりました。
今回は、【健康】【美容】に効果があるとされているナバナについて、
農家の方に教えていただいたレシピをご紹介します。
普段はあまりナバナに馴染みがない方も、
ぜひお試しいただきたいイチ押しレシピとなっております。
また記事の後半では、WEBマガジン「Umel(ウメル)」記事の執筆を担当している
野菜ソムリエJA職員・藤野がナバナのアレコレについて解説をお届けします。
農家さんイチ押しレシピ
彦根市稲部町のナバナ農家、建部清男(たてべ・きよお)さん(76)に伺いました。

地域農業のEひとでも建部さんのこだわりなどをご紹介していますので、ぜひご覧ください。
食べるまで正直舐めてました
ナバナのお揚げピザ



作り方
油揚げの上にベーコンとナバナ、とろけるチーズをのせてオーブントースターなどで焼く。
ポイント
ベーコンとチーズの塩味、油揚げの油気、ほろ苦いナバナの組み合わせが絶妙です!
「えらいシンプルなレシピやな」と、食べるまでは侮っていましたが、一口食べて、その絶妙な組み合わせに感動しました。
「味付けはお好みで」と建部さんはお話しされていましたが、何も掛けずとも最高においしいのでぜひお試しいただきたいです。
やはり野菜のおいしい食べ方は、自身でたくさん生産している農家さんがよくご存知なのだなと改めて思いました。
ナバナの基本情報
ここからは、野菜ソムリエJA職員・藤野がナバナのアレコレについて解説いたします。
◆
厳密に言うとナバナ(菜花)は、アブラナ科の花の総称です。
「菜の花(なのはな)」や「花菜(はなな)」も総称:ナバナの一つと言えます。
用途別に分けると、大きくは3種類に分かれます。
一つ目は、観賞用のナバナ。まさに花を楽しむので「菜の花」と呼ばれることが多いです。
滋賀県内では1月から2月にかけて守山市今浜町地先の景観が有名ですよね。

二つ目は、油の採取を目的としたナバナです。
ナバナの種子から搾取したナタネ油は熱に強くて酸化しにくく、スーパーでもよく並んでいますよね。

そして三つ目が、食用のナバナです。
「ナバナ」として食用に改良されたアブラナ科の花の茎葉を摘み取ったもので、主に蕾や茎葉を食べます。みずみずしくて柔らかく、ほのかな苦味が特徴です。

食用のナバナにも呼び方が複数あってややこしいですが、ざっくり分けるとこんな感じです。
蕾を食べる→ナバナ
花芽を食べる→菜の花(なのはな)、花菜(はなな)
コマツナやハクサイなどもアブラナ科の野菜です。若いうちの葉を食べますが、収穫せずにそのまま育てると、ナバナとして食べることができます。


収穫せずに放っておくと黄色い花が咲きますし、種子から油が採取できないこともないのでしょう。
ですが、私たちがイメージするナバナのおいしさとはまた異なる味わいですし、観賞用にすると開花が安定しなかったり、油にすると効率や食味が悪かったりと、決して向いているとは言えません。
ナバナにも多くの品種があって、それぞれが品種改良を重ねることで用途ごとに最適化されているんですね。
今回の記事では、「ナバナ」として食用に改良された、蕾や茎葉を食べるナバナについて触れていきます。
旬と産地
ナバナの旬は、おおむね1月から3月で、「春の訪れを告げる野菜」とよく言われています。
2025年の立春は2月3日なので、ちょうどシーズンを迎えていますね。
春の暖かさを体感できるのはもう少し先ですが、一足先に「春」を食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。

産地としては、千葉県の南房総地域が日本一の生産量を誇っています。
私たちの近くの地域では三重県が有名で、伝統野菜「三重なばな」という名称で出荷されています。イルミネーションが美しい「なばなの里」も三重県です。
では、私たちが暮らす地域(JA東びわこ管内)でナバナは栽培されていないのでしょうか?
安心してください。もちろん栽培されています。
JA東びわこではナバナを園芸推進品目と位置付け、生産振興を図っています。
現在はおよそ1.3haの面積で栽培され、市場を通じてスーパーなどの量販店へ出回ったり、JA直売所にも出荷されていますよ。
鮮度が命のナバナ。
ぜひ地元の新鮮なナバナをゲットしてくださいね。
栄養価
ナバナは、様々な栄養を豊富に含む優れた野菜です。

主な栄養成分をご紹介します。
・ビタミンC(美容や健康に効果。100g中130mgと比較的多く含有)
・β-カロテン(抗酸化作用があり活性酵素を除去)
・カルシウム・ビタミンK(骨の健康維持)
その他、造血作用のある葉酸や鉄分、整腸作用のある食物繊維が多く、高血圧予防に良いとされるカリウムも多いです。
期待される効能をまとめました。
・がん予防
・風邪予防
・便秘予防
・骨粗しょう症予防
・冷え症予防
・貧血予防
・心筋梗塞予防
・動脈硬化予防
そんなに栄養が豊富な野菜を食べないなんて、もったいないと思いませんか?
保存方法・食べ方のコツ
主に蕾を食べるナバナは、残念ながら日持ちがせず、新鮮であれば新鮮であるほどおいしい野菜です。
乾燥を防ぐために湿らせたペーパータオルなどに包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ立てて保存するのがおすすめです。
冷蔵庫の中でも上へ上へ伸びようとするため、曲がったり余計なエネルギーを消耗し、食味の低下につながります。
おおむね2~3日を目安に使い切りましょう。
また、冷凍して保存することも可能です。
その際は硬めに茹で、水気をよく切っておきましょう。
小分けにしておくと便利です。
下ごしらえのポイントとしては、水を入れたボウルでしっかりとふり洗いすると効率よく汚れを落とすことができます。
食べ方のコツとして、3パターンをご紹介します。
1.茹でる
塩を一つまみ入れた熱湯で30秒~1分程度、少し歯応えが残る程度の硬さが目安です。
茎の硬い部分と柔らかい葉の部分を分け、先に茎から鍋に入れると均等に加熱できますよ。
特有のほろ苦さに加え、茹でると甘みが出ておひたしや和え物に向きます。

2.炒める
油で炒めることでβ-カロテンを効率良く摂取することができます。
卵と合わせて炒めると、緑と黄色の色合いがきれいです。
また、油脂分があって香りが強い食材との相性が良いです。(豚肉、ベーコン、ゴマ、ナッツなど)
パスタの具材にするときは、さっと下茹でしておくとアクが気にならなくなりますよ。

3.揚げる
王道はこれです。ナバナ農家の建部さんも「やっぱり天ぷらが一番なんよなぁ」とおっしゃっていました。
新鮮なものを薄めの衣で揚げ、塩でいただきましょう。
もちろん下茹では不要です。

ナバナは火が通りやすい野菜なので、いずれも加熱は短時間にしましょう。
ナバナ雑学
ここまで圧倒的ボリュームでナバナについてご紹介しました。
これであなたもナバナについて、理解を深めていただけたことかと思います。
ここからは、ナバナマスター(?)を目指す方向けに、コラム的にナバナにまつわる雑学をご紹介します。
ナバナの歴史
ナバナはアブラナ科アブラナ属で、アブラナ科の野菜の原産地は地中海沿岸。
奈良時代以前には日本へ伝来し、食用されていたと考えられています。
江戸時代には油へ加工して灯火の燃料に使用されていましたが、農民は古くから食用として利用していたそうです。
そして明治時代に西洋種のナバナが導入され、昭和になると食用としての品種改良が進みました。
ナバナの種類
食用ナバナの中でも、いくつかの種類(品種)があります。
私たちの地域で多く生産されているのは、「花飾り(はなかざり)」という耐寒性が強く生育旺盛な品種です。
その他には、次のようなものがあります。
・オータムポエム(アスパラ菜)
→中国野菜の紅菜苔(こうさいたい)と菜心(さいしん)を掛け合わせた品種で、アスパラガスの風味がある。
・かき菜
→北関東の在来種。栃木県佐野の特産品。
・のらぼう菜
→関東で春を告げる野菜として親しまれる江戸東京野菜。
・おいしい菜
→博多のブランド野菜。クセや苦みが少ない。
・プチヴェールの花
→芽キャベツとケールの交配種であるプチヴェールをトウ立ちさせたもの。茎も柔らかく甘みがある。
家庭菜園
ナバナはプランターでも育てることができます。
ここでは栽培方法の5ステップとポイントをご紹介します。
①プランターやコンテナを準備する
②種まき
③間引き
④追肥
⑤収穫
ポイント
①寒さに強く氷点下で凍結しても枯れませんが、日当たりよく暖かい所で栽培しましょう。
②害虫がたくさんやってきます。種まき直後から防虫ネットでプランター全体を覆っておくと安心です。
③家庭菜園を自分でやってみてこそ農家さんのすごさが分かります。ぜひトライしてみてください。
最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。
野菜ソムリエJA職員・藤野に詳しく解説してほしい野菜や、取り上げてほしい話題があれば、ぜひお問い合わせフォームから教えてください。
お待ちしております!